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「それではっきりと自分の気持ちはわかった?」
静かに問われ、日葵は答えに詰まり口を閉じた。
壮一のことを好きだと認めることは、またあの時のような苦しみがあるのだろう。
愛なんて絶対じゃない。こんな醜くてぐちゃぐちゃな気持ちなどなければ……。
そんなことを思っていると、聞きなれない言葉が降ってくる
「まさか、まだ二人ともぐずぐつしてるのかよ」
舌打ちでもしそうな崎本のセリフに、日葵は驚いて崎本を見上げた。
「そろそろ素直になったら。人を好きになることはつらいことも多いけど、幸せなことのほうが多い。このまま彼がほかの人のものになって、結婚して君以外が隣にいることが想像できるの?」
崎本の言葉に一番に思ったことは、そんなの嫌! それだけだった。
(私……)
そこまで思ったところに、前から社長と隣には母である莉乃が壮一と一緒にが歩いてくるのがわかった。
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