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今日はもちろん社長である誠は、パートナー同伴だ。珍しく落ち着いた淡いピンクの小紋を着た母を見る。
「長谷川さん。お疲れ様。君は着替えなかったのか?」
父との関係は伏せているのに、目の前の社長はご機嫌のようで日葵ににこにことして問いかける。
内心ため息をつきつつも、日葵は口を開いた。
「プレスリリースからそのまま来たので」
ドレスなどを着用している人が多い中、日葵はブラックスーツのままだった。
もちろん着替えは持ってきていたが、崎本が現れたことにより着替えることをすっかり忘れていた。
スーツ姿の人も多いので、特に気にしていなかったが、父としてはドレス姿を見たかったというのが本音だろう。
「崎本君もいつもご苦労だね」
「いえ、お疲れ様です。清水君もいい仕事をしたね。お疲れ様」
社長に挨拶をしつつ、壮一ににこやかに声をかける崎本を日葵はハラハラしながら見ていた。
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