過去から未来へ

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そう呟いた時、見つめていた壮一の瞳がゆっくりと開くのがわかった。 「大丈……」 問いかけようとした日葵を遮るように、壮一は驚いたように声を発する。 「日葵……お前どうしてここに。崎本部長はいいのか?」 “崎本部長”その言葉にさっきまでの苛立ちがよみがえる。目が覚めてホッとしているのに、可愛くない言葉が日葵の口からついてしまう。 「第一声がそれ?」 「え?」 日葵のいきなりの問いかけに壮一がゆっくりと身体を起こすのを、日葵は泣くのを我慢しつつ壮一を睨みつける。 「ねえどうしたいのよ!」 あの時、壮一が倒れた時、もう無意識になにも考えられなかった。 崎本のことも柚希のことも、すべてが頭から抜け落ち、ただ壮一が大切だと感じた。 もう一度傷つきたくなくて、隠して隠してきた気持ちは一瞬にして吹き飛んだ。
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