過去から未来へ

6/36
前へ
/234ページ
次へ
「ひま、俺本当はこんなに情けない男だよ。いつも日葵の前でカッコつけてただけで」 探る様に日葵を見る壮一に、日葵はキッと睨みつけた。 「そんなのもう知ってる!」 「お前を散々泣かせたのに?」 「それでもそうちゃんがいいって思っちゃたんだから仕方ないじゃない!」 「……やっぱりバカだな。日葵は」 苦笑するように言った壮一の言葉に、イラっとして日葵が視線を逸らそうとするのと今まで触れていなかった壮一の腕が力ずよく日葵を囲う。 苦しくなるほどの力に、日葵は壮一の胸を叩いた。 「ちょっと、そうちゃん苦しい……」 抱きしめてもらえたことの嬉しさと、少しの恥ずかしさに日葵が視線をそらそうとすると、壮一がそれを阻止するように頬を掬い上げる。 「やばい、嬉しい。もう一生泣かせない」 その言葉をこれまで一緒にいたどのときよりも近くに壮一を感じると、唇が優しくふさがれた。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2736人が本棚に入れています
本棚に追加