過去から未来へ

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そんな甘い空気を壊すように、ドアがバンと開かれる。 「壮一! 倒れたって……あらお邪魔した?」 冷やかすように言われた香織の声に壮一が大きくため息をつき、日葵は慌てて壮一から離れた。 「香織ママ……久しぶり」 日葵の声に香織がクスリと笑い声をあげた。 「その様子なら問題なさそうね。とりあえずお医者様が今日は入院するようにですって。日葵ちゃん、一緒に帰りましょう」 「え?」 香織の声に反応したのは壮一で、いかにも不服そうな表情の壮一に、香織はジッと壮一を見つめた。 「とりあえず今日は休みなさい。日葵ちゃんは逃げないわよ」 きっと二人の事などお見通しなのだろう。日葵も名残惜しい気持ちを抑えつつ、壮一に小さく手を振る。 「なんだよ」 ブツブツと文句を言う壮一を、香織も面白そうに見つめた。
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