過去から未来へ

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あの日から年末まで、かなりの予約や問い合わせが入り、忙しさもそのままに嬉しい悲鳴を上げていた。 普通ならばすでに年末年始の休暇に入っているはずだったが、日葵たちの事業部だけ年末ぎりぎりまで仕事をしていた。 「本当にお疲れ様。こんな最終日まで出勤してくれて本当に感謝しかない」 すっかり元気になった壮一の言葉に、メンバーたちは笑顔で首を振る。それぐらいの達成感があった。 「少し年始は長く休みを取れるからゆっくりとしてくれ」 「はい!」 各々帰り支度をしていると、日葵はそっと壮一を盗み見る。 あの日以来、仕事が忙しくて会話らしい会話もしていないし、本当に気持ちが通じ合ったのか実感がないままだった。
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