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「壮一も、日葵ちゃんも絶対参加よ!」
香織のその言葉に、日葵も苦笑しながらその文面に目を走らせる。
「仕方ないね。いかないわけには行かないし」
「マジかよ……」
ずっと壮一がアメリカに行っていたため、ずっと年末の集まりはなかった。
今年は誠真も帰ってきているため、何年振りかに二家族が揃うのだ。その気持ちもわかる二人には、行かないという選択肢はなかった。
「せっかく日葵と二人にようやくなれると思ったのにな」
日葵の耳元に唇を寄せると、壮一が呟く。その言葉に一気に日葵の体温が上がる気がした。
今までとは違う、二人きりの時間がまだ日葵にはどうしていいのかわからずにいた。
チラリと壮一を見れば、不満げな表情で荷物を片付けている。
「日葵? どうした?」
「なんでもない」
自分だけがこんなにドキドキしているのだろうか? 今まで通りの冷静で少しイジワルな表情の壮一に日葵は心の中で大きなため息を付いた。
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