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「ひま!なにブツブツ言ってるんだよ!早く来い」 相変わらずの上からの言葉に、日葵は苛立ちを隠せない。 不満げな日葵を見て、少し先を歩く壮一は小さくため息をつくのがはっきりとわかった。 「お前がいると、俺が遅くなるだろ?」 うんざりするように言われ、日葵は足を止めた。 長谷川日葵 高1は都内の高校に通うどこにでもいる女子高生だ。 そして同じマンションに住む2つ年上の幼馴染である清水壮一を睨みつけた。 (昔は優しかったのに……) 日葵は幼稚園、小学校と優しかった壮一を思いだす。 いつも手を引いて歩いてくれていたころを。 日葵にとっては兄であり友達であり、いつも日葵を守ってくれる存在だった。
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