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両親が親友同士という家庭で育った為、生まれたときから当たり前のように一緒で、小中高大学まで、一貫校の2人はいつも一緒だった。
しかし高等部に行った頃から、日葵にとって壮一は別人のようになった。
壮一の周りにはいつのまにか、きれいな女の先輩がいつもいて、日葵には声すらかけることがなかった。
登校するときだけは、お互いの両親の命令で日葵と一緒には行っていたが、それすら日葵からみると嫌そうに見えた。
「そうちゃん、もう明日から一緒に行ってくれなくていい」
冷たく真顔で言った日葵だったが、更に壮一はそれよりも冷たい表情を日葵に向ける。
「はあ?そんなことしたら、俺が俺らの両親に怒られるだろ?」
父親譲りのきれいな黒髪から、お前はバカなのか?そう言いたそうな冷たい表情は更にきれいに見えた。
(絶対女装したら、私よりそうちゃんの方がきれいじゃん)
そんな苛立ちも含め、日葵はさらに言葉を強めた。
「朝一緒に家だけ出ればいいでしょ?そうしたらバレないじゃん!そうちゃんてバカなの?」
「そういう事言ってるからお前はいつまでもガキなんだよ。そんなことしたら、お前の望む普通の生活じゃなく、車で学校の送り迎えだぞ」
壮一の言葉に、実際過保護な父の事だ。その通りになりそうで日葵はウッと言葉をなくす。
クルリと前を向いた壮一が動かないのを見て、日葵も仕方なく大きなため息とともに足を踏み出した。
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