優しくしないで

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「どこで会った?崎本さんと」 「……駅で」 呟くように答えた日葵は、壮一が大きく息を吐くのがわかった。 「駅ね」 その意味深な言葉の意味が解らず、日葵は壮一をみた。 「どういうこと?」 「崎本部長は車だろ」 その言葉に、崎本はわざわざ日葵と話すためにあそこにいた事は想像がつく。 そして、壮一にもその事がわかったのだろう。 この間の壮一の『付き合っているのか』という問いに対する答えはNOだ。 しかし、何もないと言えるかと言われれば、それもNOなのかもしれない。 明らかに好意を伝えられている人に対して、返事を保留にしていることは、もはや何もないとは言えない。 それは日葵にもわかっていた。 だが、しかしそれを今壮一に説明する気はなかった。
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