4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
寒い冬空の下。君と歩く道。
普通、彼氏が前を歩くものじゃなかろうか…
私より半歩ほど後ろを歩く君を見ながら私は思う。
試しに足をとめてみる。 君も、とまる。私の少し後ろで。
君を、ふりかえる。君と目を合わせる。
じっと、…みつめる。
君は、少し口元をゆるめ、嬉しそうな、困った顔で首をかしげた。
ム~ッ 私は少し怒ったフリをして また前を向いて歩いた。
ぽっかり空いている右手を左手できゅっとにぎって、
…私はまた、とまった。
今度は君はよこにいる。私は敢えて君の顔は見ずに、君の左手をじっと見つめた。
…少し、待ってみる。……。
何も、言わない。
…キュッと、君のそでを、つまんだ。
「…え」 君がもらす。
その声にハッとして 私は急いで歩き出した。
「えっ」君が引っ張られるようについてくる。
……右手、冷えるし、…歩きに、くい。
私はまたとまる。
手、つなぎたい って、言うだけじゃん
手、つなごって、さそう だけじゃん
ただ、そこにある手を、にぎる、 だけじゃん。
なのに、なのに。
声がでない。 手が、動かない。 私は君のそでから手をはなした。
沈黙が、つづく。
最初のコメントを投稿しよう!