寒い冬空の下。君と歩く道。

1/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
寒い冬空の下。君と歩く道。 普通、彼氏が前を歩くものじゃなかろうか… 私より半歩ほど後ろを歩く君を見ながら私は思う。 試しに足をとめてみる。 君も、とまる。私の少し後ろで。 君を、ふりかえる。君と目を合わせる。 じっと、…みつめる。 君は、少し口元をゆるめ、嬉しそうな、困った顔で首をかしげた。 ム~ッ  私は少し怒ったフリをして また前を向いて歩いた。 ぽっかり空いている右手を左手できゅっとにぎって、 …私はまた、とまった。 今度は君はよこにいる。私は敢えて君の顔は見ずに、君の左手をじっと見つめた。 …少し、待ってみる。……。 何も、言わない。 …キュッと、君のそでを、つまんだ。 「…え」 君がもらす。 その声にハッとして 私は急いで歩き出した。 「えっ」君が引っ張られるようについてくる。 ……右手、冷えるし、…歩きに、くい。 私はまたとまる。 手、つなぎたい って、言うだけじゃん 手、つなごって、さそう だけじゃん ただ、そこにある手を、にぎる、 だけじゃん。 なのに、なのに。 声がでない。 手が、動かない。  私は君のそでから手をはなした。 沈黙が、つづく。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!