開放

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「ん?彼が居るんでしょう」 「うん、高校の時のね。アメリカは離婚率50%国よ。 高校時代のカップルのほとんどは別れるわ」 「さっき、相手がいると言っていたけど・・・」 「みんな、大学に入学して遠距離恋愛だからみんなギクシャクしているわよ」 「そんなものですかね」 恋愛をしていない亮にとって実感が無かった。 「ねえ、どんな薬の研究をしていたの?」 スワンは薬剤師の亮に興味を持っていた。 「漢方薬です。Herbal medicine」 「それは中国の物じゃない?それに効果が弱いわ」 「漢方は植物の力で体を強くして免疫力を上げるのが目的なので、  時間がかかりますけど、体に害が無い」 「しかもHermal medicineにはjpaneseもIndiaもあります」 「そうか・・・面白い」 「それで今は糖尿病の治療薬の研究をしています。それと白血病・・・」 「本当!それは興味があるわ。アメリカの糖尿病患者は予備軍を入れて 8000万人以上と言われているの」 「僕の元々の考えは漢方薬によってインスリンを作る膵臓を強く丈夫にするわけです」 「それが出来たらぜひ教えて。臨床を父の病院でやってもいいわ」 「はい、それならぜひお願いします。スワンさん」 亮はスワン・ロングと握手をした。 「ねえ、スワンと呼んで」 「はい、ではRYOと呼んでください」 「じゃあ、一度うちの病院に来てくれないかしら、父を紹介したいわ」 「はい、僕もアメリカの医療を知りたいのでぜひ」 「面白い、あなたって」 「はい」 亮とスワンは連絡先を交換してハグをした。 「亮、彼女とハグしていたけど?」 パティは嫉妬深く亮に聞いた。 「ええ、彼女のお父さんの病院でうちで作った 薬の臨床をしてくれると言うので  その話を・・・すいません」 アメリカの若者はちょっとした知り合いでもハグなど当然な事で 謝る亮の方がちょっとおかしかった。 パーティが終わると亮はパティを自宅に送って送っていくと パティは着替えに二階に上がっていった。 アリスが微笑みながら亮の手を握った。 「亮、久しぶりね」 「すみません、日本に帰っていたので忙しくてごめんなさい」 亮は膝を付いてアリスの足を見た。 「亮、どうだ。コーヒーでも」 アーロンは息子のようにかわいがっている亮が久しぶり来て嬉しくてコーヒーを持ってきた。 「ありがとうございます」 「バーボンの方が良かったかな?」 「いいえ、さっきお酒を飲んできましたから酔い覚ましにちょうどいいです」 「ジェニファーと一緒に日本に行ったそうだな?」 「はい、お陰で犯人を逮捕出来ました」 「うんうん」 アーロンはパティの従妹のジェニファーを褒められて嬉しかった。 「ところでパトリシアとはどうなっている?」 「楽しかったですよ。パーティ一緒にカラオケ唄ったし」 「いやいや」 パティに一向に興味を示さない亮にアーロンが首を横に振るとため息をついた。 亮は椅子に座っているアリスの所に行った。 「アリス、お土産買ってきましたから後でお持ちしますね」 「ありがとう」 亮はアリスにとっても優しかった。 「アリス、糖尿病の具合は?」 「かなり血糖値が高いわ」 「そうですか・・・インスリンの注射は?」 「痛くてね、サボっているの」 「そうか・・・体の事考えてまじめにやらなくちゃだめですよ」 亮の頭の中には痛くないインスリン供給方法が浮かんでいた。 「わかったわ」 「じゃあ、帰ります」 亮はパティの家族にお辞儀をして帰って行った。 「どうしたのパパ?」 着替えて二階から降りてきたパティが聞いた。 「いや、お前と亮の関係を聞いたんだよ」 「パパ、余計な事聞かないで!亮は深い傷を負っているんだから」 「そうか・・・すまない」 娘に叱られたアーロンは口をつぐんだ。 それから亮は大学の勉強の他に糖尿病治療薬の勉強に没頭し 夏休みが来てニューヨークへ行った。 「尚子さん、しばらくお世話になります」 亮のサマースクールに通GIA宝石鑑定士のキャンパスはマンハッタンの5番街と6番街に挟まれたた西47丁目のインターナショナル・ジエム・タワーに有る。 普段は通信教育で実習をニューヨークで行く事になっていた。 「良いですよ。逆に一緒に居られて嬉しい。宝石鑑定士って思ったより難しいのね」 「はい、人の財産の鑑定をいい加減にしたら損をさせてしまいますからね。責任は重いですよ」 「そうか・・・」 「アメリカのGIAとイギリスのFGAの宝石鑑定士の資格は権威があります。 と言うか世界的に宝石の取引をする時にはほとんどGIAかFGAの鑑定書が付いていないと 正当な取引が出来ないと言ってもいいでしょう」 「そうか、じゃあ私の母が持っているダイヤモンドの日本宝石協会鑑定書は?」 「鑑定機を使っていますので間違っているとは言えませんけど日本国内流通にしか使えません」 亮は尚子の母親が宝石を売らなければならないほどお金に困っている のではないかと心配していた。 以前から父親に電話を掛けた尚子の父親の会社の商品を買うように頼んでいた。 「亮か?」 そこに秀樹から電話がかかって来た。 「はい今GIAのサマースクールに来ています」 「おお、ご苦労さん」 「どうしました?」 「白尾さんの財産状況が極めて悪いようだ?」 「どうしてですか?」 「木材の輸入の支払い保証(L/G)が出来ないで困っているらしい」 「そうですか・・・木材が輸入できないと仕事が出来ませんね」 「それで相談なんだが、うちの方で保証をかけてやろうかと思っている」 「そんな事良いんですか?」
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