開放

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「いや、あそこのマホガニーの家具は素晴らしいもので業界では有名な 高級家具シラオは人気の商品なんだ。今までは販売を請け負っていた 高級家具のOTUKA家具が親子で分裂して業績が落ちてしまったんだ」 「そうだったんですね」 「それでうちの顧客に営業すれば十分売れる自信がある」 「よろしくお願いします」 「うん、一年分の商品オーダー契約をする」 「ありがとうございます。そんなに・・・」 「ああ、美佐江と千沙子も尚子さんを良く知っているので二人にも頼まれたんだ。 それに私も尚子さんのファンだしな。あはは」 「あはは」 亮と秀樹は一緒に笑った。 「それで面倒な話なんだが、GIAを取ったらFGAの鑑定士を取ってくれないか?」 「えっ、ロンドンですよ」 「FGAを取ったらうちにも箔が付くから」 「わかりました。やってみます」 「もちろん経費は出すぞ、夏休みのうちに一度ロンドンへ行くと良い、 いい家具があるからそれも見てくると良い」 「はい、お願いします」 「誰から電話?」 「父からです。GIAを取ったらロンドンでFGAを取れと言われました」 「イギリス?」 尚子は驚いていた。 「今度一緒にロンドンへ行きませんか?交通費を出します」 「本当?嬉しい」 尚子は亮に抱き付いた。 亮は尚子の実家の救済のためにみんなで動いている事を 伝えなかった。 亮は時間のある時になるべく尚子のレッスンを観て録画をしていた。 尚子は約束通りSNSを毎日アップして日本のファンを増やして フォロワーが20,000人を超していた。 「亮!」 亮をスタジオで見つけた受付のサンドラが来た。 「サンドラ、お久しぶりですね」 「私も尚子のツイッターをフォローしているわよ」 「ありがとうございます。アイリーンたちは元気ですか?」 「二人ともオーディションに受かってアイリーンはブロードウエイ、アマンダはオフブロードウエイで 仕事をしているわ」 「それは良かった」 亮は一生懸命レッスンを受けている尚子を見ていると取り残されて感がある 尚子を気の毒に思っていた。 「ねえ、ニューヨークにはどれくらいいる予定?」 「あと一ヶ月くらいいますよ」 「じゃあ、今度食事でもどうかしら?」 「OK」 亮はレッスンを終えた尚子にタオルを渡した。 「アイリーンとアマンダオーディション受かったそうですね」 「ええ、そうよ。アイリーンは準主役」 尚子は笑って答えた。 「尚子さんも頑張りましょう」 「私は歌手だからライバル心も無いから」 「そうですね」 「それより何を食べる?今日は私がおごるわ」 「大丈夫、今まで言わなかったけど仕事でかなり儲けたから」 「仕事って?」 「中国の友達と商品を売ったんです」 「そうか・・・」 そう言った尚子は寂しそうな顔をしていた。 「私も何か仕事があったら手伝うわ」 「わかりました。食事の後、お酒でも飲みに行きますか?」 「嬉しい!」 尚子は亮と腕を組んだ。 「そう言えばサンドラから食事に誘われました」 「そう、そうなんだ」 尚子がきつい顔をした。 「ん?」 「亮、アメリカで女性が食事に誘われる意味わかる?」 「食事行くんでしょう」 亮の頭の中にはステーキでも一緒に行く感覚だった。 「誘われているんだよ」 「うん、食事に」 「食事の後も」 亮は尚子の言葉に首を傾げ 尚子は女に興味の無い亮にため息をついた。 「亮、女性に興味ないの?」 「いいえ、ありますよ」 「ふーん」 「私には?」 「ありますよ、尚子さんはスターになれると思います」 「そっち?」 「そうだ、僕がこっちにいる間にニューヨークで人気のある食べ物屋さん回りませんか?」 「高級レストランを回ると嫌われるからね」 「そうですね。ニューヨーク奮闘記じゃなくてセレブ日記になってしまいますね」 「そうだ、ナチュラルグリルを歩いてお店の紹介をしましょう。デビッドにスポンサーの相談します」 「そうか、日本人観光客向けに良いね」 亮はすぐにデビッドに電話をして尚子のスポンサーを頼んだ。 「なるほど、父に広告料として尚子に払うようにする」 「ありがとうございます」 「そう言えば、ロビンが仕事が順調で会社を作るそうだ。それで我々に  株主と取締役になってもらいたいそうだ」 「良いですね。それで会社の名前は?」 「Americanweb」 「なんか、大きくなりそうですね」 「ああ、私もそう思う」 「そうだ、僕も将来会社を作りますからその時はデビッドとロビンに取締役になってもらいます」 「うん、それは良いな。友情の証にお互い頑張ろう」 「はい」 電話を終えた亮は尚子の所に飛んできた。 「尚子さん、ナチュラルグリルの記事を書いてくれれば  広告費として『いいね』と『リツーイト』に関してはさらにインセンティブ を出してくれるそうです。もちろん食事は無料です」
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