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二人の生活
夜の夜中。その建物はボロい二階建てのアパートで階段は錆びだらけで今でも壊れてしまうのではないかと思うぐらいギシギシと音を立てる。そんなボロい階段を一人の男がギシギシと音を立てながら登って行く。そして一番右奥にある玄関のドアに手を掛け鍵が掛けてないのかドアが開いた。中に入るとタバコや酒等の悪臭が漂い男はポケットからハンカチを出して口に当てた。中に入っていくとそこにはベビーベッドがあり中には赤ん坊がすやすやと眠っている。男はハンカチをポケットにしまい赤ん坊を抱き上げる。
「柚子、俺の娘。絶対にお前を幸せにしてみせる。彼奴なんかに、あんな暴力を振るう男なんかに渡さない」
男は赤ん坊を抱き抱えアパートにある必要な物を盗み出てそのまま走り新幹線に乗った。男は自分のしたことが悪い事と分かって頭が冷えたのか新幹線の中で頭を抑え顔を真っ青にし悩んでいた。
「どうしよう。柚子を拐ったのはいいがどうやって育てれば良いんだ。赤ん坊の育て方とかよく分からないし」
男の腕には拐った赤ん坊こと柚子がすやすやと寝息をたてて寝ている。男は柚子を抱き抱えながら見るとさっきの真っ青な顔色はなくなり微笑んだ。
「可愛いな、きっと俺なら出来る。わからない事はパソコンで調べればいい。とにかく遠くに離れて誰にもバレない所に行かないと」
新幹線を降りそこからまた電車、その次にバスに乗るとそこには辺り田んぼや畑等か囲まれた田舎に着いた。男は赤ん坊を抱き抱え歩くと誰も使っていないボロボロの家に入り座り込んだ。
「今日はここで寝泊まりしよう。明日から仕事やら家やら探さないと」
男は赤ん坊を抱き抱え壁にもたれたまま眠りについた。
朝、赤ん坊の泣き声で男は目を覚まし赤ん坊をあやした。
「どうした柚子、お腹空いたのか? ちょっと待っててくれ」
男はあの家で盗んだミルクと哺乳瓶を急いでバックから出し小さい牛乳パックの赤ん坊用のミルクに入れ柚子に飲ませた。
「ごめんな柚子、今はこれで我慢してくれ」
哺乳瓶に口を咥えながら飲んでいる姿に男の顔は緩み赤ん坊が飲み終わると背中をポンポンとリズムよく叩きゲップをさせる。
「柚子、俺は今から仕事を探してくる。それまでは何とか持ちこたえてくれ」
哺乳瓶に口を咥えながら飲んでいる姿に男の顔は緩み赤ん坊が飲み終わると背中をポンポンとリズムよく叩きゲップをさせる。
「柚子、俺は今から仕事を探してくる。それまでは何とか持ちこたえてくれ」
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