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動けないままのあたしを見兼ねたのか、クローゼットの中からTシャツを取り出すと、なんとも乱雑にあたしの頭へとそれを被せてくる。
思わず「雑。」と、文句を言えば
「あ?なら自分で着ろや、くそが。」
そう言いながらも最後まで服を着せてくれた伊織。
ふぅん、ちょっとはいいとこあんじゃん?
と、思いかけてすぐさまそれを掻き消す。
いやいや、そもそもこんな事になってるのは伊織のせいなんだから当たり前じゃん。
「…もう寝るから、あたしの下着とスマホ持ってきてよ。」
そうだ、今が何時なのかはっきりとした時間は分からないが、深夜を過ぎているであろうということは何となく分かっていた。
明日もあたしは仕事がある。伊織がどんな仕事をしていて明日が休みかどうかも知らないが、そんなことはあたしには関係ない。
ノーブラで寝るのはまあいいとして、ショーツくらいは履かせてもらいたかった。
だってあたしは裸族ではないし、きっと伊織と隣同士で寝るであろうこの場所でノーパンのままでは心許なさすぎた。
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