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傍若無人でどうしようもないクズ野郎だと思ったけど、案外良いところもあんのかも?なんて、またころっと騙されかけるが、
これが伊織の言っていた、釣る前の魚には餌をやるってことなのかもしれない。
と、思い直してクズの手口に騙されないよう気を引き締め直した。
そんなことを考えていたあたしの元へ、スマホと下着を手に伊織が戻ってきた。
伊織に下着を持ってきてもらうことになんの抵抗も無くなってしまっているあたしって女としてどうなの?とも一瞬思ったが、逆にそれは伊織に対してなんの感情も抱いていない証拠であると、半ば強引に自分を正当化した。
「お望みのもの持ってきてやったんだけど、お礼に泣いて喜んでくんない?」
そう言ってそれをあたしに手渡すと、そのまま自分もベッドへと横になった。
そんな伊織の姿を横目に「…ありがと。」と、流石にお礼の言葉だけは口にしてからさっさとショーツを身につけた。
ちなみに、先ほどの伊織の戯言は無視である。
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