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そんなあたしの横で徐にタバコに火をつけると「あー…、ヤニ切れしんど。」と、フィルター越しに煙を深く吸い込んで、薄くなったそれを吐き出した。
タバコ特有の、味わってもいないのに苦いと分かるような独特の香りが一気にあたしの鼻腔を支配する。
「くっさ。寝タバコとかあり得ないんだけど。」
「うっさ。俺の部屋でどこで吸おうが俺の勝手だろ。」
そう言いながら少しだけ上体を起こしていたあたしの肩へと腕を回すとそのままグッと伊織の体へと引き寄せられた。
「っ、な、何これ。」
「あ?どう考えてもアフターケアだろうが。」
そう言ってあたしの体を自身の左脇に抱き留めたまま、ぎゅっと、アピールするように力を込めた。
「…伊織って、いつもこんなことしてんの?」
「はっ、するわけねえだろ。これは全部コトちゃん限定。よかったでちゅね?」
「き、きもいっ!」
「お前まじコロス。」
急に赤ちゃん言葉を喋り出した伊織に対して、思わず本音を漏らせば、あたしの肩に回していた腕を今度は首へと巻きつけるように固定すると柔くそこへ力を込めはじめる。
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