匂いと呼名...

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匂いと呼名...

翌々日の夜、ワタシは、やはり、セフレの克彦と書店の駐車場で躯を求め貪り合いました。車内と云う密閉空間では牡と雌の淫らな匂いが沸き立ち、ワタシは拠り生理的本能を刺激され、しかも、近所の書店であるが故に知人の姿を横目にセフレと躯を繋げる行為はワタシを狂わせて居たのです。 愛されては居ないけれど互いに必要としている克彦との関係を維持する事は以前のワタシにとっては躯の欲望と孤独を癒す唯一の手段でした。そして、ワタシは必ず2回求めてくれるセフレの克彦との行為が純粋に気持ち良くワタシの中で太く膨張したセフレの快感物質を口内で受け止め呑み込む行為に被虐的快感を得て居たのも事実です。(ワタシったら、こんな場所で他人に視られてるかもしれないのに...セフレの奴隷の様に唇と舌で奉仕してるなんて...)と考えると興奮してしまい夢中になって再びセフレの躯を求めて固くなった彼の上に跨がってしまうのです。 それは、週に4回程度在りましたが、社長とのデートが週に2~3回となると平日同日に時間をずらしてセフレと躯を重ねた後に社長と愛し合う事も頻繁となり、土曜日や日曜日の午前は愛人としての務めを果たしてから社長に抱かれると云う事も希に発生してしまっていたのです。ワタシは、ある日、社長から「新木さんって不思議な匂いがするんだよね、狩猟やってるから匂いに敏感なんだけどさ、例えば生理中の女性だって直ぐに解るんだよ」と云われて背筋に冷たいモノが走りました‼ (もしかしたら、ワタシに着いた他の男の体臭に気付いたの?そんな事あるの?でも呑んでるから⁉いや、社長とキスする前に必ず歯磨きしてるし?)ワタシはシドロモドロで「ワタシは汗かきだからかなあ~)と話題を何気無く逸らして「ねえ、もう、恋人だと思うなら名前で呼んでよ✨」と彼に要求して、その場を誤魔化し(もう、決めなくちゃいけないかも)と思いながらもセフレの克彦との関係を週に2回に減らすに留めたのです。そして、愛人業は週末午前1回として彼とのバッティングを避けました。その時から社長の呼名をマーちゃんと変更し、ワタシの呼名はファーストネームの聡子となりましたがワタシは自ら恋人と言いつつも彼に捨てられる不安を払拭する事が出来ずにセフレと愛人業と云う彼に対する裏切りについての罪悪感は微塵も感じてはいませんでした。 そう、バツイチ女が独りで生きて行くには当然だと思っていたからです。 ~~~~~~~~~~ 彼女と関係を持ってから彼女の私に対するデート要求が週に最低2回となると些か閉口しました。 仕事上の付合い事もあり、趣味仲間との会食も、儘ならなくなり、彼女はレジャー行くだけ、スポーツだけ、映画観るだけ、の様なデートを許さず必ずホテルに向かう嵌めになるからです。私も多数の女性と交際し結婚も複数回しておりましたが、清楚で真面目な彼女が必ず求めてくる躯の繋りに凄まじいギャップを感じていました。また、それが魅力的にも感じられ次第に私は彼女に生活パターンを支配されつつ有る事を考えながらも、まあ、性的ホルモンが多いのかなあ?体臭も独特の匂いがするし、と深く考える事はありませでした。私が何より驚いたのは性的な行為の進展の早さでした。普通の女性ならば抵抗を示すであろう行為を難無く受け入れてしまう好奇心に感嘆し、また時折見せる超絶な性的技能に驚くと再び恥ずかしがり清楚可憐な女性に戻る彼女を不思議に思いこそすれ疑惑など一欠片も想像する事は在りませんでした。私は自信過剰な部分があるのです。 趣味的時間が減少して、私の生活の中心は彼女の聡子を軸に回る様になりました。 遊んでいた友人達も次第に遠ざかって行きました。 あ~何と無くまた私は聡子と結婚するかも知れないな、と既に結婚慣れしていた私は特に深く考える必要が無かったのです。 私にとっては戸籍など、どうでも良い制度的問題に過ぎませんでした。
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