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(なんだ、これは)
岡田源之進はうろたえた。
ただ刀をさやから抜いただけである。
なのに、抜き身となった刀身から、なんとも異様な気配が手に伝わってきて、それが源之進の背筋を寒くさせるのだった。
(まるで違うではないか)
と、彼は思う。
家にあって、ときおり手入れをしてきた刀である。〈首切丸〉という、なんとも恐ろしげな名で、家では代々妖刀として伝えられてきた。だが、家で手入れするときには、ごく普通の刀に見えた。どこにも妖刀などという雰囲気はなかったのである。
それがいま、実際に使おうとして抜いてみれば、本性を現したように恐ろしげな気を放っているではないか。妖気といってもよい。
源之進の体は、そのまま妖気に負け、へなへなと崩れ落ちそうでさえある。
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