ライバルの理由

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お酒を飲める商店街の人達はこれから反省会という名の飲み会。それにうきうきとした足取りでお兄ちゃんは向かった。私はさっそく愚痴る 「あーあ。レンさんとリナさんの広告効果を甘く見ていたなー。若い女性が多いって時点で勝てる気がしたのに」 「僕もこうなるとは思わなかったよ。商売ってわからないものだね」  「ま、四人が楽しんでくれてなによりだよね。ヒロキさんとひなさんのデートもうまくいったみたいだし」 四人は二手に分かれてお祭りを楽しんでから、呉服屋に着替えに戻って私達に挨拶しにきてくれた。それが本当に楽しそうで、その前にあったトラブルなんてもう忘れているみたいだ。 それを知っているリクも思い出したように聞く。 「……ほのかは大学生が羨ましい?」 「え、なにいきなり」 「午前中、そんなことを言っていたでしょ」 ああ、そうだ。言った。大学生って男子と女子で遊びにでかけたりするんだみたいなことを。けど実際は恋愛やなにかでドロドロになりかけた。あれをうらやましいとは言いにくい。 「うーん。なんかね、結局はその人次第なんだなって思った。私達小中学生だって男女で仲悪いの知ってるけど、私もリクも違う。大学生だって仲良さそうだけど、実際はユウジさんみたいに友達を信じられない人もいるし」 ユウジさんはきっと心が小学生のまま大人になったんじゃないかって思う。一つがうまくいかないからってやけになって暴れるタイプ。 「だからいろんな人と出会って仲良くなるのが一番で。自分の立場のせいにしちゃいけないんだね」 きっと私だって小学生の時にリク以外の男子と仲良くなれたかもしれない。リクも私以外の女子と仲良くなれたかもしれない。小学生はそういうもの、大学生はそういうもの、なんて話はないんだ。 「……ありがとう」 「え、なにいきなり」 「ほのかがおじいちゃんの言葉通りにしてくれて。おかげで僕は悲しむ時が減ったと思うし、おじいちゃんのいうことを聞くかどうかはほのかが決めることだから」 急にリクは感謝する。結局人間は立場じゃなくて本人の性格次第という話をしたから、いくらリクのおじいちゃんが私に頼んだってそれをやるかどうかは私次第。だから急に感謝したんだと思う。 「やめてよ。そんなえらいものじゃないんだから」 なにせ私はリクをライバルとして色んな勝負をしかけただけ。それも親の作ったお菓子の売上勝負だとか、意味のわからないレベルの勝負だ。 でも、思い出せて良かった。私のしてきたことは迷惑なだけじゃなかったんだ。 END
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