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私だってゴミ漁りは嫌だ。普段ならやらないと思う。でもリクの推理だし、リクはそれを思いついても実行できない立場にある。ならば私がやらないと!
小分けに分けられたゴミ袋を開く。これは多分、お弁当……ヒナさんが作ったというサンドイッチが入っていた容器だろう。おしゃれな柄付きの不透明なプラスチック容器だから、家に帰って洗ってから捨てるものだ。これかもしれないと手に持った時、それには不自然な重みがあった。
「あった……!」
プラの箱を開けて、重みがあるふたを見れば紙の封筒をあった。封筒がふたに張り付いている。そしてマヨネーズか何かの油が封筒にシミを作っていた。
「嘘でしょ、なんでこんなところに」
リナさんがすぐに反応し、封筒に近付こうとする。私はリナさんが汚れず見やすいよう封筒を取り出そうとした。だが思いの外しっかりと封筒は容器の蓋にはりついていた。
べりっとそれを引き剥がす。
「なんだろう、ノリで貼ったみたいな。……まさかお米?」
容器をよく見る。封筒には潰された米粒がついていた。お米を糊にして、封筒を容器につけた…のかもしれない。
どた、と畳に何かを叩きつけるような音がした。見ればひなさんが真っ青な顔して畳にしゃがみこんでいる。
「私じゃない!」
ヒナさんはやっとというかんじに叫んだ。そうだ、これはひなさんが持ち帰り洗ってから捨てるはずのもの。会費がここにあるということは、ひなさんが犯人ということになる。
でもリナさんは当然ひなさんを信じている。
「大丈夫、わかってる。これ、おにぎりのお米ではっつけられてるんでしょ。でも今日ヒナはおにぎりを食べてなかったから。おにぎりがあるからって、自分で作ったサンドイッチが残らないよう遠慮してサンドイッチだけ食べてたじゃない」
「リナ……」
「封筒は蓋についていたわけだけど、蓋なら誰でもさわれる。それで貼り付けて蓋をしめてしまえばわからない。ひなでなくても出来る事だよ」
リナさんは冷静に、ひなさんを疑う理由がない事を伝えていく。
封筒はお米で蓋にひっつけられていた。おにぎりを食べなかったヒナさんにはできないし、そうする理由はない。むしろ犯人はおにぎりを食べた誰かになる。
「これは犯人がひなに罪をなすりつけようとしたものだと思う。私達は犯人の思うように動くつもりはないんだから。ご飯粒の件で皆信じてくれるよ」
一番やってはいけないのはひなさんを疑うこと。それが犯人の狙いなんだから。
私も心配になって、また呉服屋さんの電話を借りて和菓子屋にかける。このまま真実を起こったままに伝えれば、きっと皆ははヒナさんを疑うから。だからそうならないよう先にリクだけに会費のありかを伝えて、合流する前に犯人を見つけてもらう。きっとリクなら犯人を見つけてくれると、私は信じている。
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