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言葉
今から遠くない未来の話。
文明のレベルは向上し、人々は望んだ事の多くを、思うがままに出来ていた。
そんな優れた社会であるが、高度に発展した技術の代わりに、人々は会話をしなくなった。
会話をするまでもなく、ネットでのコミュニケーションでことが足りてしまうからだ。
人々の口は衰え会話をする能力が、なくなってしまった。
流石にまずいと、政府はとあるマスクを開発した。中にはバッテリーが内蔵されており、電気信号を口に流し、会話を手助けするのだった。
人々は、特に必要にも感じなかったが、念のためにとマスクを付けていた。
そんな中、高層マンションに住んでいる青年A、彼は違った。
彼は会話をする必要のない世界で、なぜまた会話をする必要があるのか疑問を抱いており、マスクを付けなかった。
彼は、フリーランスで働くITエンジニアで、仕事でも常に家におり、人とのコミュニケーションはかれこれ十数年していない。
そんなある日、青年Aは仕事を終わらせて24時を回る前位に、就寝していた。
だが、何か様子が変だと、目を覚ますと、
辺り一面が、火で覆われていた。
この世界では、行き過ぎた科学の代償として、
常に雷が轟く、空となっていた。
いつもならば、電磁バリアが上空に展開され、守られていたはずだが、何かの機材トラブルか、電磁バリアが解除されていたのだ。
青年Aはなんとかネットで、コンタクトを取ろうと試みるも、落雷の影響で機材は一つ残らずダウンしていた。
かろうじて、電話回線はつながっていたが、
マスクを付けていない青年Aは、言葉にならない悲鳴を上げ炎の中は消えていった。
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