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風紀は乱れる
彼は、校内に常備されているトイレットペーパーを持ち出した。
彼は鼻炎持ちで、授業中も休み時間もクルクルとトイレットペーパーから紙を取り出し鼻をかんだ。
かみ終わった紙はゴミ箱に捨てず床にそのまま捨てるので、掃除の頃には彼の机の周りは使用済みの鼻紙でいっぱいになっていた。
また、彼は母親が作ったお弁当に入っている焼き鮭の皮を自分の席の天井に投げつけて貼り付けるという習性がある。
リシン吹きつけの天井に張り付いた鮭の皮はその油が天井に染み込んで糊の役目を果たして二度と落ちてくる事はなかった。
果たして、数十個の鮭の皮が、教室の天井で鍾乳洞のように垂れ下がっている。
まさかこのような形で陸の化石となろうとは鮭本人も思わなかった事であろう。
ふと担任の教師が天井を見上げ「なんやあれはぁ〜」と呟いたが、そんな瑣末なことに返事をする生徒は誰も居なかった。
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