贅沢な悩み

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贅沢な悩み

有給休暇が全て残っていた。 最初の数日は罪悪感に苛まれたが、数日が過ぎてしまうと、本来の私の怠惰な本能がむくむくと屹立してきた。 昼前に目を覚まし、情報番組を見て昼のドラマを見、夕方の再放送のドラマを見てまた情報番組を見ている。 気がづけば一日がだらだらと終わって行くことにすっかり慣れてしまった。 しっかりと休んで再就職まで充電する気でいたのだが、実家暮らしということもあり、父、母、妹に「いつ再就職するのか」とチクチクと言われた。 反駁したいが、正直に言うと焦りはあった。 社会という大きな川から、溺れてしまいそうになりながら陸に上がった。陸の上から眺めてみると四方が濁流に囲まれていることに気づいたのだ。 その濁流の怖さを知った私は呆然と立ち尽くしている。 自分がこうやって休んでいる間にもう二度とその川に身を投じる事のできないような感覚に囚われていた。
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