モラトリアム万歳

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モラトリアム万歳

しかし、今思うと、当時の私には前職での傷心や社会への失望に対して動き出すためのエネルギーが未だ十分に備えていなかったと言える。 ここで前職の仕事の過酷さを説明することは本筋に逸れるので記さないが、会社を辞してからの私の体重が三日で十キログラム増加したという事実がその過酷さを想像するに難しくはないだろう。 しばらくは、こういった社会との疎外感や、再就職への焦燥感と戦っていた。 とは言え、一か月ほどすると怠惰な生活から脱却する事すら面倒くさくなり「これが噂に聞いたモラトリアム期だ」と開き直って過ごしていた。
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