過去…‥

10/22
前へ
/371ページ
次へ
朝焼けが消え、朝日が昇っている…‥ 『そう言えば壬生(みぶ)って聞いたことあるような…‥』 ポツリと独り言を言った鈴華に対し、総司がそれに答える。 『壬生とはここの地名ですょ。』 『…‥地名⁉』 『はい、この辺りは壬生と言うのです。私たちもついこの間”新撰組”と名を頂くまでは”壬生浪士組”…‥”壬生狼”などと呼ばれていたものです。』 『壬生狼…‥⁉』 『えぇ、ちょっとした皮肉ですよ。』 彼の言うことにはこういうことだ…‥ ”壬生狼”という呼ばれ方は京の人々の皮肉でもあった。彼らは決して歓迎されていたわけではない…‥。京の街の人々には野蛮だと恐れられ、嫌われていたのだ。と…‥ 『そんなのおかしい…‥』 鈴華はやりきれない気持ちだった…‥ 京の治安を守るために自分の命を削ってまで戦っているのに…‥。あまりにも皮肉な結果だ。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3809人が本棚に入れています
本棚に追加