~試験前夜~

5/5
77人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
「分かってるよう。分かってる。 だってあの人、夢香にだけ優しいんだもん。 はじめはさ、夢香がとられた気がして、私、ほんとに悔しかったんだよ。 夢香は私にだけ、甘えて、頼ってくれなくちゃ、なんてね。 そしたら、だめだね。 彼氏にはふられるし、推薦はダメになるしで、どんどん負のスパイラル。 だんだん自分が、ひとりぼっちで、誰からも必要とされてないような気がしちゃって、暗闇の中に迷い込んだみたいで。 だからね、夢香。私のは、恋じゃないから。 ただちょっといいなあって、ふたりのこと、うらやましいなあって思っただけだから」 「島ちゃん……」 「ごめんね、私、こんな奴で。 夢香を悩ませて傷つけて。もうキライになったでしょ?」 「なるわけない。なるわけないよ……」 あたしは、島ちゃんの長い髪をなでた。 「うふふ、夢香は、半纏姿(はんてんすがた)もかわいいのう」 島ちゃんは、半笑いになって、あたしの胸に顔をうずめた。 「夢香のオッパイやわらかい。あしたの試験、がんばってね」 美人で、ハキハキと明るくて、案外めめしくって意地っ張り。 島ちゃんは、あたしの憧れ。 ずっとずっと大好きな、あたしの親友。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!