プロローグ

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この祠は存在しない。 私とSはこの祠を作り上げたけれど、本当はこの祠は存在していない。 なぜなら、この祠を作った歴史も、祠の主も、貼られた御札の文字の意味も、お供え物の決まりも、本当は全部存在していないから。 高三の夏。シビアな時期だったけど、同時に、本当の自分でいられる最後の夏だと、なんとなくそういう意識があった。だからこんな事をした。 本当の自分でいられるかもしれない最後のチャンスなのに、二人にはそう居られる世界が無かった。だから作ったのだった。 二人だけの神様を。
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