二人の鬱屈・ダイジェスト

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高二の冬、Sは失恋した。 Sが告白した時、その子は下品に笑ったという。そして、一通りSを嘲った挙句、彼氏がいる事実を明かした。 その彼氏というのは、Sが好かない道徳に反するタイプの同級生だった。その子は当てつけのように、そんな男子との煙草味のキスのことまで語ったらしい。きっとその子も、吸っているかは分からないけど、煙草の香りやアウトローをかっこいいと思う程度の女子高生だ。 めちゃくちゃに振られた上に、清楚で聡明だと信じていた子が穢れを好いていたという事実で、Sには相当なダメージだったに違いない。彼は「半年も無駄にした」と繰り返すようになり、Sの恋愛相談は、立ち直り方や自らへの呵責の相談に切り替わった。 彼は最低な物を見抜けずに信じてしまった自分を酷く嫌ったし、真面目から離れて人の不幸を願う事を覚えた。そうしてしばらく不憫な恋路をずるずる引きずる事になった。 私は私で、好きだと思える彼氏を作ったはいいものの、その人が関わってもくれないことをSに嘆くようになった。 優しさを履き違えて、男女関係なく求められるままにスキンシップした。恋仲でだけした方がいいこともした。けれど私の優しさというレッテルもまた、人の相談や頼み事を聞くばかりで、私に相談や頼み事をさせてはくれないものだった。 私とSと、お互いにお互いにだけ弱くなれる生活が続いた。
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