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ダイジェスト・その後
神様は残酷だ。
私もSも無宗教だったが、人並みに神様に縋った。そして恩恵が無いどころか試練ばかり与えられていることを恨んで、そう嘆き続けた。
まあ、熱心な信仰なんか全くしていなかったし、自分達の運命が傾いているのは神様のせいではないと分かっていたけれど、ただ、自分達がマイノリティーで惨めであることに理由が欲しかった。救われたかった。
高校生活をダイジェストするだけでも、二人それぞれ真逆の方向に間違えてしまっているのがよく分かる。少なくとも私とSの中ではそういう認識だ。本当はダイジェストの間だって鬱屈の波に揺られ続けていた。
十七年程の生活で、どうしてこんなに疲れているのだろうか。そうだ、きっと、ちゃんとした足場に立てていないから。頼れる場所があればこんなことで悩まなくていい。けれど、だからといって何処に頼るのか?
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