プロローグ

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プロローグ

「出来たね」 「うん、素晴らしい」 こっそり持ち出した金槌を握りしめたまま、それだけ口に出した。釘は所々斜めだし、木もまだ真新しくささくれ立っているけれど、それは些細な事だ。見よう見まねで取り付けた三角屋根の下に、短いしめ縄をつけ、二人で願いを込めて磨いた石を入れた。色々問題はありそうだが、満足のいく祠になった。 「ボタンは?」 「持ってきた」 「ボタンってそんなに取れるもの…!?」 「いや、予備のを集めてきた、ご利益欲しいから」 「あー、私もそうすればよかった」……… 私の声はSだけに、Sの声は私だけに届いている。山の外には、カナカナカナカナ…という鳴き声しか響かない。
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