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田車も加藤と一緒に怖い心霊写真というものを考えてみた。
「やっぱ、ベタに両手を前に突き出してみるとかどうですか?」
「いや、それじゃキョンシーじゃん」
「確かに……」
色々と考えたが、悩むよりまずはやってみようと棒立ちの状態の写真を撮ることにする。
「おっ、結構心霊写真っぽいじゃん」
田車の撮った写真を見て加藤は満足そうだった。
「っぽいって言うか、れっきとした心霊写真ですけどね。とりあえずオカルトマニアの集まる掲示板に投稿してみますよ『家で心霊写真が取れたみたいなんですが、鑑定お願いします』っとこんなもんか」
田車はそう言ってスマホをいじると心霊写真をネットの海に放り投げる。
「後は反応貰えるまで時間あると思うんで朝飯買ってきて良いですか?」
加藤は何が起こっているのか分からなかった。
「なぁ、写真の現像も封筒でどこに送るでもしてないのに大丈夫なのか?」
なんと説明すれば良いのか考えたが面倒くさいし腹も空いていたので「まぁ、後でわかりますよ」とだけ言って家を出る。
コンビニで適当に朝飯を買って家に帰る。いた。
幽霊は肘枕をして随分とリラックスした状態で居間に寝っ転がっている。
「おっ、田車さんおかえり!」
本当は同棲した彼女に言って貰いたかったセリフを幽霊のおっさんに言われて田車は気が滅入った。
「とりあえず、飯食いながら皆の反応を見てみましょうか」
「待ってました!」
加藤は飛び上がって田車の椅子の後ろに立つと、元気な幽霊だなと田車は思う。
「えーっと、レスは来てるかなっと」
自分の書き込みをパソコンで表示させる、すると加藤が指をさして驚いた。
「えー!? これ俺じゃん! 俺の写真じゃん!」
「あぁ、スマホから投稿したんで…… まぁ簡単に言うと今、加藤さんの写真は世界中の誰でも見られる状態ではあります」
信じられないといった顔をして加藤は突っ立っている。
「何かその事実だけで成仏できそうだよ」
「そうだと良いんですけどもね」
とにもかくにも、2人は掲示板の反応を見ていった。
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