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田車と加藤は取れた写真を覗き込む。
「うーん、何かイマイチだなぁ」
半透明の男が部屋の隅で座ってコチラを見ている写真は一応怖い部類だったが、どうも加藤は納得がいっていないらしい。
「角度が悪いのかな、それとも撮る位置が悪いのかな、どう思う田車さん?」
「どう思うって言われても…… それじゃ何枚か取り直してみましょうか」
「すまねぇな」
顔の角度を変え、撮る位置を変え、2人は最高の心霊写真を模索し始める。
「田車さんこの角度中々良いんじゃね?」
「あー、確かに」
田車はまるでSNSに上げるために盛れた自撮りを頑張って撮っているような気分だなと思っている。
「よし、これだな!!」
20分ぐらい掛かって、ようやく加藤が納得のいく写真を撮ることが出来た。さっそく田車はそれを掲示板に投稿する。
「『もう一度写真を撮ったのですが、また映り込みました』っと」
反応が付くまで田車と加藤は部屋で2人っきりになる。正直、田車は気まずくて何か話す話題を考えていた。
「加藤さん、幽霊ってどんな感じなんですか?」
結構気になっていた事を質問してみる、「そうだなー」と言って加藤は少し考える。
「腹は減らないし、眠くもならないけど、虚しいって感情が近いかな」
「虚しいですか?」
田車が繰り返すと「そうそう」と加藤は頷いた。
「誰も自分を見てくれないし、関わることも出来ない。遠くへ行こうとしても何かに引っ張られてる感じがして行けないし、俺の場合はだけど」
「幽霊ってのも自由じゃないんですね」
「そうなんだよ、だから俺は成仏がしたいわけ」
それを聞いて、田車は少し加藤に同情する。自分も同じ状況だったらきっと藁にもすがる思いで成仏をしようと思うだろうと。
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