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田車と加藤がたどり着いたのはとある神社だった。
そんなに有名な神社ではなかったが、人もいるし何か手がかりがあるのではと来てみたのだ。
「封印ですか?」
そう田車が聞くと加藤はうんうんと頷いた。
「俺は30年前にここの神主に封印されたんだよ!!」
「そうだったんですか!?」
トラウマが蘇ったのか加藤はガタガタと震えだす。
「でも、ちゃんと事情を説明すれば成仏する手伝いをしてくれるんじゃないですか?」
「神社って神道だよな、成仏って仏教じゃん!! とにかくここはヤバい所だ!」
よく分からない理屈を言って加藤は逃げようとするが、田車は人から声を掛けられる。
「こんにちはー」
女性の声だ、突然気配もなく話しかけられたので田車はビクッとして振り返ると中々整った顔立ちの美人がいた。それは長く美しい黒色の髪を結った巫女さんだ。
「こ、こんにちは」
加藤と話しているところを見られたので、ヤバい独り言を言っている奴だと思われたんじゃないかと田車は内心焦っていた。
「あの、ちょっとお聞きしたいんですが、神主さんはいらっしゃいますか?」
田車は巫女に尋ねる、すると巫女は少し寂しそうな顔をする。
「私の父がこの神社の神主だったのですが、3ヶ月前に亡くなりました」
「それは…… すみません、お悔やみ申し上げます」
何だか気まずくなってしまったなと田車は思った。今度は巫女から田車に質問をする。
「父のお知り合いですか?」
「いえ、知り合いでは無いのですが、ちょっとお聞きしたいことがあって」
そこまで言うと巫女は急に不敵な笑みを浮かべて話し始めた。
「ふふっ、わかっています。悪霊に悩まされているのですね」
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