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そう言ったかと思うと巫女は突然懐から御札を取り出して加藤に貼り付けようとした。
「うわっ、あぶねっ!!」
すんでの所で加藤は避ける。
しかし、巫女の動きは止まらない。
「悪霊退散!!」
巫女はパタパタと加藤を追いかけ回し、加藤は必死の形相で逃げ続ける。
「巫女さんちょっと待って下さい、話を聞いて下さい!」
田車の言葉をよそに、2人はグルグルと追いかけっこをしていた。
「悪霊退散!!」
「へぶっ」
加藤が避けたせいで御札は田車の顔に貼り付けられてしまう。
勢いよく顔にビッターンと貼られた為に田車は鼻血が出た。
「あっ、すみません!! おのれ悪霊め!」
「ちょっと、話を聞いてくださいよ!!」
御札を外して田車が言うと、巫女も少し落ち着いたようで加藤を警戒しつつも御札をしまう。
その後、田車と加藤は神社の境内に案内された。社務所の縁側に座らされ、田車は鼻血の手当てを受けていた。
「申し訳ありません、てっきり悪霊に憑かれたのかと思いまして……」
「いえ、良いんですよ」
鼻血が止まるまでの間、横になっていた方が良いと巫女に言われ、膝枕をされている田車は物凄く眩しい笑顔をしている。
「自己紹介が遅れました、私はこの神社の巫女の『江賀 美雪(えが みゆき)』と言います。美雪とお呼び下さい」
「あぁ、俺は田車 真(たぐるま まこと)です。よろしくお願いします」
「あのー、俺も自己紹介した方がいい感じ?」
加藤は気まずそうに縁側に座って言った。すると巫女は加藤の方を見る。
「私にはあちらの幽霊さんはハッキリと見えないし、何を話しているのか分からないのですが、悪霊ではないのですね?」
「えぇ、彼は加藤さんって言うんですけど…… ちょっと、話すと長くなるんですが良いですか?」
「構いません、お願いできますか?」
それならばと、田車は事情を説明し始めた。
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