31人が本棚に入れています
本棚に追加
「田車さんはいい人だ、これ以上迷惑は掛けられねぇ。俺はどうにか自分の力で成仏してみせるよ」
加藤は田車に軽く頭を下げて続けて言う。
「短い間だったがありがとう田車さん」
「ちょっと待って下さいよ、自分で成仏するって…… それが出来なかったからこうなってるんじゃないんですか?」
痛いところを突かれて加藤はウッと言葉に詰まった。
「加藤さんは自分の力であの世へ行こうとしているのですか?」
田車の反応を見て美雪は何となく察する。
「加藤さん、身寄りのない幽霊が自分の力だけであの世へ行くことは難しいです。今は無害でも悪霊になってしまう可能性もあります」
美雪が言うと「そうなのか……」と加藤はうつむいた。
「そうらしいですし、乗りかかった船って奴ですよ。心霊写真を撮るぐらいだったら力になりますから」
「ほんとすまねぇな、田車さん。恩に着るよ」
加藤は右手を顔に当てて言った、そして田車はそうだと言ってスマホを取り出す。
「さっき上げた心霊写真に何か反応があるかもしれませんよ! 見てみましょう」
「おう!」
気を取り直して幽霊のくせに加藤は元気よく返事をした、そして2人と幽霊1人はスマホを覗き込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!