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「このスマホっていうのか? 本当便利だなコレ」
加藤は感心して言った、そして目で文字を追う。
『これはガチでヤバイやつ』
「お、いい反応ありますね」
「なるほど、加藤さんはこんな感じの人…… じゃなかった幽霊だったんですね」
美雪は加藤の姿をぼんやりとしか見た事が無かったので、そんな感想が出た。
『怖すぎワロエナイ』
「ワロエナイって何だ?」
「笑えないって意味ですよ」
田車がそう答えると、そうなのかーと加藤は言う。掲示板の反応は写真の信憑性を疑う者と、写真を怖がる者のだいたい2つに分かれていた。
このまま行けば加藤の承認欲求が満たされて成仏ができる。そう思っていたのだが掲示板は怪しい流れに進んでいく。
『増やしてみた』
その書き込みと一緒に貼られていた画像を見ると、ボウリングのレーン上にピンの代わりに10人並べられた加藤の姿があった。
「なんだこれぇ!?」
「ぷっくくくく」
加藤は驚き、美雪は必死に笑いを堪えている。
「か、かとうしゃ、すみませ、あっはははははは」
笑いのツボに入ったのか、美雪は堪えきれずに爆笑していた。
「あー、クソコラ作られちゃいましたね……」
「く、クソコラァ!?」
増やされた自分の写真を見て加藤は頭が追いついていないようだ。
「えっとー…… こういうくだらない写真が今の時代は結構簡単に作れちゃうんですよ」
掲示板の反応はと言うと呪われるからやめとけと言う者と、美雪のように笑ってしまった者が増え始める。
『怖いから宇宙葬してみた』
次は宇宙空間に加藤が漂っている画像が貼られていた。
「はっはははは、はぁはぁ、あはははは」
元々美雪は笑いのツボが浅いのだろうか、それを見て思いっきり笑っている。加藤はと言うと何が起きているのかイマイチまだ理解してないようだ。
それから社務所の縁側に座ってスマホで掲示板の反応を眺めていたが、どうやら幽霊の呪い相手のチキンレースのようにコラ画像が作られ始めていたのだ。
加藤は世界各地に飛ばされ、様々なアニメや漫画に登場し、ニュースの切り抜きに登場させられていた。
「はぁはぁ……」
田車は笑いすぎて赤い顔をしてあえぐ美雪が心配になる。その後ろで加藤は頭を抱えていた。
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