31人が本棚に入れています
本棚に追加
「ナニコレ、現代人怖い……」
加藤はメチャクチャ落ち込んでいる。
あのままだと美雪が笑い死にして幽霊の仲間入りをしてしまいそうだったので田車は家に帰った。そして夜中までネット上の反応を眺める。
「加藤さんの…… その…… クソコラグランプリが開催されちゃってます……」
加藤の写真は掲示板を超えてSNS上でまでコラ画像の素材にされてしまっていた。
「で、でも、これで加藤さんの姿が少なくとも数万人ぐらいに見られていることになるので、承認欲求的には…… どうですか?」
「どうですかじゃないよ田車さん!! 俺もう恥ずかしくて街歩けないよ!! 幽霊だから歩けないけど!!」
「ですよねー……」
加藤の承認欲求は満たされなかったらしい。田車は本当に気の毒に思っていた。
しかし、ふと疑問に思ったことがあった。
「加藤さんが心霊写真に写ってみんなに見てもらいたいのって承認欲求を満たしたいから、ですよね」
「あぁ、そうだ。それで怖がられて山田さんは成仏したからな」
ふむ、と田車は考えて言ってみる。
「その山田さんは怖がられるのが目的でしたけど、そもそも加藤さんの場合も同じ怖がられる事で承認欲求を満たせるんでしょうか」
「幽霊だからそうなんじゃないですかねぇ?」
「でも幽霊って、あまり詳しくないですけど守護霊みたいなのも居ますよね? 別に怖がられなくても良いんじゃないですか?」
加藤はポカーンとマヌケな顔をして、それからふと真顔に戻って言った。
「それだ」
今更かよっと田車はツッコミを入れそうになるがグッと堪える。
「とりあえず明日また美雪さんに相談をしてみませんか?」
「すまねぇな、田車さん」
色々とあった1日だったが1人と幽霊は休むことにした。
最初のコメントを投稿しよう!