31人が本棚に入れています
本棚に追加
その瞬間、加藤の周りに浮いていた光のオーブが大きくなり、加藤はどんどん透明度が増していった。
「加藤さん!!」
田車は気付いたら不思議だが少し涙が出る。
「田車さん、本当にありがとう。俺は幽霊になってからずっと寂しくて不安で孤独だった」
加藤は笑顔で素直な言葉を言った。
「良い年した大人なのに情けないよな、でもこの3日間本当に楽しかった!」
「俺もですよ、加藤さん」
「あの世ってのがどんな場所かは分からないが、誰かを見守ることが出来るってんならずっと田車さんのこと見守ってるぜ」
「ずっと見守るとか、気持ち悪いんでやめて下さい」
「えぇー!? この状況でそう言う!?」
田車は目をこすって軽口を叩く。
そして、最後まで騒がしい人…… 幽霊だなと笑った。
「加藤さん、私はあなたが見えませんが迷わずに黄泉の国へと行けるよう毎日お祈りをしています」
「はは、こんな美人な巫女さんに毎日思われてるんじゃ、もうこれ以上の供養は無いな、生まれ変わったらナンパしに行こうかな」
「見守るのか生まれ変わるのか、どっちなんですか」
田車はツッコミを入れると加藤は笑う。
「まぁ、どちらにせよ田車さんと美雪さんの事は一生忘れないよ」
「もう一生終わってますけどね」
「何か田車さん言うようになったなー」
そして加藤を包む光は一層眩しさを増していった。
「どうやらお迎えみたいだな、それじゃあバイバイ!!」
田車と美雪は静かに手を合わせて祈る。
最初のコメントを投稿しよう!