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落ち着いた2人と幽霊1人は社務所の縁側に座って登りゆく朝日を眺めていた。
全員恥ずかしさからか会話がない。
「あーなんか変な空気にしちまってすまねぇな田車さん、美雪さん」
「加藤さんが変な空気にしてすみませんですって」
「いえ、私も力及ばずで……」
気まずい。
「やっぱ、自分のルーツっていうか、本名とかどこで生まれてどう育ったとか思い出さなきゃ駄目なんかな」
「わからんすね」
「何か田車さん冷たくなぁい!?」
「加藤さんが自分の本名とか生まれとか知らなきゃ駄目なのかなって言ってます」
「それは…… どうなんでしょうね」
気まずい。
「あーもー、わかりましたよ!」
この気まずさを打ち破るように田車は立ち上がって言った。
「ここまで来たらとことん付き合ってやろうじゃないですか、加藤さんの個人情報全部、暴いてみせますよ! 情報科通ってんですから任せて下さいよ!」
美雪も小さく「よしっ」と言って立ち上がった。
「私も立派に巫女を務めて、どうにか加藤さんが無事に黄泉の国へと行けるようにお助けしますよ」
「田車さん、美雪さん……」
加藤も立ち上がって2人に1礼して言った。
「すまねぇな、恩に着るよ」
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