31人が本棚に入れています
本棚に追加
「つまり、心霊写真を撮ってテレビ局に送ってほしいと?」
田車の言葉を聞くなり、加藤は指をぱちんと鳴らして言う。
「ビンゴビンゴ!! 物分りがいいなー田車さんは!」
1人で盛り上がる加藤だったが、田車は申し訳無さそうに言った。
「でも今ってテレビ見ない人多いですよ、現に俺の部屋にも無いですし……」
ハッとした顔をして加藤は部屋中をじっとりと眺め、ふと安堵したように指をさす。
「なんだ、テレビあるじゃん。いやー、冗談キツイっすよ田車さん」
「あれテレビじゃなくてパソコンなんで」
加藤が指をさしたのはパソコンだった。半透明の加藤の顔が青ざめる。
「パソコン? いや、でもテレビ持っている人だっているだろ?」
「確かに、持っている人の方が多いですけど」
それ見たことかと加藤はニッと笑うが、田車は残念な現実を突きつけた。
「最近は心霊特集番組ってあまりやらないらしいですよ、クレームが多いとかで」
また加藤は口をぱっくりと開けて信じられないといった顔をする。
「その山田さんが成仏したってのはいつの話なんです?」
うーんと加藤は考えて思い出そうとした。
「えーっと、30年以上は前だったかなー」
「あー、だいぶ昔ですね」
加藤はガックリとうなだれる。
そんな彼を見ると田車は何だか物凄く不憫に思えた。
最初のコメントを投稿しよう!