私という一個のもの

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私という一個のもの

なぜ自分が 一つの有機体として動いているのか なぜ自分は この一個のものだという 意識があるのか なぜ 触れているのに 触れたものは 私の一部だと言えないのか それが疑問で かじかんだ手を 雪の中に いつまでも押さえつけていた。 あの雪は とうに何かに変わってしまっただろう。 だが私の疑問は 解けないまま 忘れ去られて 胸の隅で 干からびかけていた。
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