謎のモテ期は突然に

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いきなりそんな… 「…ありがと、ございます…」 私は小さく頭を下げた。 感謝しているのは こちらだ。 皆さんには、本当に良くしてもらっているのだから。 コホ、と乾いた咳をして 先生は続ける。 「ただね、妃芽ちゃんも たまには同じ年頃の子たちと関わったり、仕事でもスキルアップした方がいいんじゃないかな?まだ若いんだし、いろいろ経験すべきだよ」 「…」 「ここでは毎日同じことの繰り返し。刺激もないし、君のような人がもったいない」 長い付き合いの先生が、私を思って言ってくれているのは 十分に伝わってくる。 「大きな病院は大変だけど、大変ななりの遣り甲斐とか充実感があると思うんだ。また布施医院を再開した時、妃芽ちゃんが月見山で学んだことを活かしてもらうっていうのはどうかなぁ?いずれは僕が、ここを継ぐんだし」 院長先生が引退して渉先生の代になった時、もう少しこの医院の規模を拡大する、と里美さんが言っていた。 お世話になっている皆さんへ、微力でも貢献出来たら嬉しい。 嬉しいけれども。
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