謎のモテ期は突然に

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「初日なんだし不安な気持ちはわかるけどさ、みんな忙しいからね。ここじゃ、自分から動かなきゃ誰も助けてくれないよ」 美人さんはニヤリと笑うと 「ま、今日は特別サービス。私が面倒見てあげる」 そう言って踵を返し、颯爽と歩き出した。 気が強くて怖そうな人。でも贅沢を言っている場合じゃない。 とにかく今は、この人について行かねば…! 履き慣れないローヒールのパンプスにグラつきながら、必死で後を追う。 特に私を気遣う訳でもなく、宝井さんは大股の早歩きでどんどんと進んで行った。 「理事長は不在が多いの。無駄足は嫌だから、診察が始まる前のドクターとナースを先に片付けよう」 「は、はいっ」 宝井さんの きびきびとしたこの感じは、きっとバリバリ仕事が出来て みんなからも慕われていて、姉御的な存在なのだろう。 …私なんかとは、交わらない人に違いない。 きっと課長に名指しされたから 仕方なく、なのだ。
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