月夜のラプソディ

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多少 ややこしい事はあっても、患者の皆さんは 孫のような歳の、地味で冴えない私にも優しくしてくれる。 院長先生も渉先生も、里美さんも然り。 小さな町のお医者さんで、平々凡々と真面目に働くーー 同世代に気を遣いながら キラキラしたオフィスで上辺だけの付き合いをするより、人生の先輩方に囲まれて過ごす方が余程 楽しい。 数少ない友人から "気の毒"だの"枯れてる''だのと言われようが、私はこの「地味」な生き方が心地良いのだ。 それなのに 神さまは私に とんでもない試練を与えた。 落ち着いた毎日が 突然 掻き回され 何かに導かれるように 私は 自分の宿命(さだめ)に翻弄されるーー
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