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何故 私が駆り出される必要性がある?
あんな大きな総合病院、事務員が少しくらい欠けたところで 誰かしらでカバー出来る筈だ。
「あの、どうして…」
「月見山の理事長のたっての希望で、と言えば、君に声が掛かった理由 わかるよね?」
「…まさか」
「ごめん、そのまさか。親父と理事長が酒飲んだ時、いつも親父が妃芽ちゃん自慢をするだろ?」
月見山総合病院の理事長と、ここの院長先生は幼なじみの大親友だ。
二人でよく飲みに行くことは、私も知っている。
何故か院長先生が私の話題を出すことも、里美さん情報で耳にした。
「布施が自慢する 望月 妃芽ちゃんに、ぜひ月見山で働いてもらえないかと」
渉先生が、ポリポリと頭を掻いた。
「理事長直々にそう言ってくれるなら、悪い話じゃない気がして」
嫌だ…そんなの冗談じゃない…!
「私、自慢されるような人間じゃありません!月見山みたいに立派な病院なんて無理ですよ、院長先生に恥をかかすことになりますっ」
私が何とか医療事務員としてやっていけているのは、布施医院という小さな町医者だからだ。
院長先生が私を自慢する というのも、例えるなら孫バカのお爺ちゃんが 自分の孫を自慢をするのと同じレベルなのに。
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