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「では、その人間の娘を我々の息子 どちらかの嫁に迎え入れる事が出来ぬ場合、我らの種は滅びる、ということでお間違いありませぬか」
「くどい!」
「しかし、これは一大事にて『あ、勘違い』では済まされませぬゆえ」
「このワシが、そのような失態を演じたことがあるか」
「「それは何度も」」
「うっさいなー、こんな時だけハモるな!よいか、失敗は許されぬぞ」
「こやつの息子など、はなから勝負になりませぬ。かの娘が 我が息子になびかぬ筈がない。嫁取りに際し足手纏いが側にいては、甚だ迷惑」
「…なんと!我が息子を足手纏いとは、何たる言い草…」
「私は事実を申したまで。それでなくとも我らより劣った種の、しかも そなたの息子のような愚図で臆病者に、世の娘が惚れる筈がなかろう!ワッハッハ!」
「長老の御前で…なんたる屈辱…ううっ」
「はいはい、そなたも泣くでない。これは勝負とは違う。助け合いぞ」
「「…」」
「仲違いをしている暇はないーーしくじれば、両の種族が消えてしまうとの御告げ、深刻に捉えるのじゃ」
「「はっ」」
「よいな、一月後より 息子どもを人間に化けさせ、どちらかが あの娘を嫁にせよ。頼んだぞ」
「「畏まりました。必ずや!」」
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