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新入りの佐渡彩子先生は、無口でまるで存在感がない。診察というよりただの面接。残念ながら佐渡先生が、僕の正常を指導医に進言してくれることはなさそうだ。信頼のできる優秀な女医というイメージからは、ほど遠い。むしろこっちが先生を分析したくなる。
昼食後にピアノを弾くと、必ず背後に気配を感じる。佐渡先生が赴任した日からずっとだ。弾き終えてふり返ると、そこには誰もいないのだが、おそらく先生が影の薄い感じでたたずんで聴いていたのだろう。今度、面接・・・じゃなかった、診察の時、聞いてみようか。
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