さよならの少し前

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さよならの少し前

どうやって「さよなら」を言おう。 「恋人」という立場にさせられてからは3ヶ月。 短いようで長い時間恋人として一緒にいた奴が、私の部屋で幸せそうに眠っている。 無垢な笑顔をしている。子供のように、安心しきったこの顔に向かって、私は今日、さようならを告げる。 「嫌いになったから」 冷たく言う練習は、何度もしてきた。 相手は奴に貢がれたぬいぐるみ。 見た目は全く彼とは違う、まんまるな姿に小さな目をしているが、ウザかわいさが、ほんの少し奴に似ている気がしている。 3ヶ月前まで。 正直、ゴキブリと同じ程度の印象しかなかった当時であれば、嫌がらせのノリで軽く言えただろう。「ばいば〜い」って。 でも……。
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