夏の暑さと君の熱さと

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我が母ながら、よく途中で挫折しなかったと思う。 浮気という、最低最悪の理由でとっとといなくなってしまった父親なぞ、いない方が空気も美味しく感じるし幸せなどと思っていたのだが……私にも見事にその余波がやってきた。 とは言っても、生来の性格が、そもそも学校での集団生活には合わなかったのもあるのかもしれない、が。 小1の秋になる時。 大企業でバリバリ働く母がシングルマザーであると知った保護者達が、自分の子供にあることない事、「シングルマザーとその子供」というタイトルの本が1冊できそうな程の悪い噂を吹き込んだ。 おかげさまで、友達と呼べる存在は皆無だった。 小4の秋頃。 ロッカーに置いてあった私物を、勝手にゴミ箱に投げ入れられた。 クラスの役割……学級委員とか動物係とか、誰もやりたがらないような面倒な清掃係を押し付けられた。 かと思ったら、まるで存在しないかのように扱われたこともあったこともあった。 主に挙げるとしたらこれくらいだろうか。 小学校のメインイベントで覚えている事と言えば。 ニュースでは、SNSや裏サイトと呼ばれるインターネット上の学校外のいじめも話題になっていたが、これこそ不幸中の幸い。 スマホどころか、子供携帯もパソコンも、私の家には存在しなかったので直接の被害は無かった。 ただ、クラス中が学校外……SNSで盛り上がっている間は、もちろんハブられた。 体に被害があった訳でも無かった。 ありがたいことに、中学までは五体満足。 それでも、幽霊の様に扱われた事が悔しかった。 母のいない暗い部屋で泣いていたこともあった。 今思えば、それを「良し」と考えて、自分の中で納得させていれば良かった。
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